シンセシスNavi » 何をどこまで依頼できる? 受託合成のサービス内容

受託合成とは?依頼できるサービス内容と企業の選び方

受託合成とは

定義と基本的な仕組み

受託合成とは、必要な化合物の合成を外部の専門機関に委託するサービスです。

自社に研究員がいても受託合成を使う会社は多くあります。理由は、合成の工程があっても、それが本業ではないからです。製薬会社が新薬を開発するとき、合成プロセスを全部自前でやるのは非効率なことが多い。特定の化合物を一定量・一定品質で揃えることに特化した外部機関に任せた方が、コストも期間も変わってきます。

受託合成が使われる代表的な場面は以下のとおりです。

受託合成のメリット・デメリット

受託合成の最大のメリットは、自社にない技術と設備をそのまま使えることです。主なメリットをまとめると次のとおりです。

一方で、次のようなリスクもあります。

機密情報の取り扱いは特に注意が必要です。契約前にNDA(秘密保持契約)の中身を確認した上で進めることを強くおすすめします。

受託合成で依頼できること——サービス内容の全体像

受託合成と一口に言っても、依頼できる内容は幅が広いです。大きく「何を合成したいか(化合物の種類)」「どんなプロセスを任せたいか」「どういう契約形態にするか」の3つの軸で整理できます。委託先を探す前に、自社がどの軸で何を必要としているかを整理しておくと、選定がスムーズになります。

化合物の種類から選ぶ

既知化合物の合成

すでに構造や合成ルートがわかっている化合物の合成を依頼できます。

既知化合物であれば文献情報や合成データが存在するため、委託先との初期すり合わせはそれほど複雑にはなりません。ただし、スケールや純度の要件によって難易度は変わります。ラボスケールでの少量合成と数kgオーダーのスケールアップでは、プロセスの設計が変わってくる場合があります。依頼前に確認しておきたいポイントは以下のとおりです。

既知化合物の合成について詳しく見る

新規化合物(未知化合物)の合成

構造も合成ルートも決まっていない段階から依頼できます。

新規化合物の合成では、逆合成解析によってルートを設計するところから始まります。「こんな特性を持つ化合物が欲しい」というレベルで相談を受け付けてくれる委託先もあります。ただし、新規化合物は合成の成否が事前に保証されないケースもあるため、進め方や知的財産の帰属については契約段階で明確にしておくことが重要です。確認しておきたいポイントは以下のとおりです。

新規化合物(未知化合物)の合成について詳しく見る

誘導体・リード化合物・天然物由来成分・安定同位体標識化合物

受託合成で依頼できる化合物には、上記以外にもいくつかの種類があります。

リード化合物は創薬の初期段階で特定のターゲットに活性を持つ化合物で、新薬候補の選定に使われます。スクリーニングやプロファイリングを効率よく進めるために、必要なタイミングで一定品質のものを揃えられる委託先を選ぶことが求められます。

誘導体はリード化合物などから派生させ、機能や特性を改良した化合物です。PEG誘導体は溶解性や生物適合性の向上に、テトラゾール誘導体やピリジン誘導体は医薬品・農薬の合成に使われます。

天然物由来成分は植物や微生物から抽出・精製した化合物で、医薬品や化粧品の原料として使われることが多いです。特定成分の高純度化や、複雑な天然物の合成にも対応できる委託先があります。

安定同位体標識化合物は、重水素(D)や炭素-13(¹³C)、窒素-15(¹⁵N)などで特定の原子を置換した化合物です。NMRや質量分析でのトレーサーとして使われ、薬物動態や代謝経路の解析に欠かせません。対応品目が5,000以上のラインナップを持つ委託先もあります。

合成プロセスに関する依頼

合成ルート検索・調査

合成を始める前に、どのルートで作るかを決める必要があります。このルート探索自体を委託できます。

合成ルートの検討では、文献調査に加えてコンピュータ支援合成設計(CASD)ツールが使われることもあります。自社でルート探索する時間がない、あるいは複数の候補ルートを比較して最適なものを選びたいときに有効です。委託先によっては、ルート提案から合成の実施まで一貫して対応できる場合もあります。

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合成プロセス・反応条件の最適化

既存の合成ルートをそのまま使うのではなく、条件を詰めて最適化することで品質と効率が上がります。

最適化の目的はプロジェクトによって異なります。コストを下げたいのか、純度を上げたいのか、収率を改善したいのか——その優先順位によって、最適なプロセスの設計は変わります。反応条件の最適化はスケールアップの成否にも直結するため、量産を視野に入れているプロジェクトでは特に重要な工程です。

合成プロセス・反応条件最適化について詳しく見る

修飾・精製

合成した化合物の特性を調整する「修飾」と、純度を高める「精製」もサービスとして依頼できます。

化学修飾は、物質の表面を加工したり構造の一部を置換したりする加工法です。目的に合わせて機能や特性を変えるために行います。ペプチド修飾をはじめ、さまざまな修飾に対応できる委託先があります。

精製は合成後の化合物に混入した不純物や未反応物を取り除く工程です。精製が不十分だと化合物の純度が下がり、用途によっては研究結果そのものに影響します。カラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留など、化合物の性質に応じた手法を選べる委託先を選ぶとよいでしょう。

修飾について詳しく見る 精製について詳しく見る

特殊・高度な合成への対応

特殊合成・特殊反応

高度な設備と安全管理体制が必要な合成は、対応できる委託先が限られます。

毒性・有害性の強い物質(ホスゲン、シアン化合物など)、超低温・加圧条件が必要な反応、爆発性のある物質を扱うプロセスなどが該当します。専用の設備と安全管理体制を持つ委託先でなければ引き受けられません。依頼を検討する場合は、同種の合成実績を事前に確認しておきましょう。

特殊合成・特殊反応について詳しく見る

ライブラリー合成

類似した化合物を大量に一度に合成できる手法です。

創薬のスクリーニングでは、多数の化合物から活性を持つものを絞り込む必要があります。ライブラリー合成ではコア構造を共通にしながら置換基を変えた多数の誘導体を一度に合成できるため、スクリーニングの効率が上がります。コンビナトリアルケミストリーの手法を取り入れた委託先が対応しています。

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契約形態から選ぶ

スポット合成(単発依頼)

「この化合物を一定量ほしい」という単発の依頼です。

依頼頻度が低い場合や、初めて使う委託先を試したいときに向いています。依頼のたびに見積もりを取って進める形になるため、継続契約のFTEと比べると手続きコストはかかります。一方で、プロジェクトごとに最適な委託先を選べる柔軟性があります。

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FTE(研究員占有型)

一定期間、委託先の研究員と設備を専有して使う契約形態です。

FTEはFull Time Equivalentの略で、契約期間中は研究員が自社プロジェクト専任で動きます。誘導体を継続的に合成したい、製法開発を長期でやりたいプロジェクトに向いています。スポット合成と違い、研究員と直接やりとりしながら進めるため、進捗の把握がしやすく、方針の軌道修正も柔軟に行えます。

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受託研究・受託製造との連携

合成の前後にある研究や量産工程ごと委託できる場合があります。

受託研究は研究テーマ全体を外部に任せる形で、実験の設計・実施・データ解析まで委託先が担います。自社の研究リソースを補完したいときや、特定分野の専門知見が必要なときに有効です。

受託製造はスケールアップして量産する工程を委託するものです。ここで注意が必要なのが知的財産の帰属です。ODMとOEMで扱いが変わるため、契約前に整理しておく必要があります。

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受託合成を依頼する際の3つのチェックポイント

対応力・提案力

処方が決まっていない化合物や「こんな特性が欲しい」という段階の相談を受け付けてくれるかどうかを確認してください。

受託合成のプロジェクトは、進めるうちに当初の想定と変わってくることが珍しくありません。対応の幅が広い委託先であれば、そういった状況でも一緒に考えてくれます。初回の問い合わせ段階で担当者がどこまで具体的に動いてくれるかは、判断材料のひとつになります。

技術力・設備

技術力と設備は合成の品質に直結します。次のような点を確認しておくとよいでしょう。

汎用的な合成でも、技術力の高い委託先の方が品質は安定します。

秘密保持(NDA)・実績

合成プロセスには独自技術が絡むことが多いため、情報管理体制の確認は必須です。

NDAの締結を前提に、委託先の情報管理体制が整っているかを確認しましょう。受託合成としての実績に加えて、自社が求める業種・分野での経験があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。実績の多い委託先はトラブル対応の経験も積んでいるため、想定外の事態が起きたときの対応力が違います。

シンセシスNaviで受託合成先を探す

シンセシスNaviでは、依頼したい合成の内容や条件を絞り込んで委託先を探せます。化合物の種類、対応スケール、特殊合成への対応有無など、条件で絞り込んで候補を比較できます。一社ずつ問い合わせる手間をかける前に、まずここで候補を絞り込んでみてください。

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