既知化合物は、該当する物質を抽出・分析の上、データベースと参照して検索します。一方、新規化合物の場合は、最終的な分子デザインを決定してから合成ルートを考えていきましょう。合成ルートの検索には、Retrosynthesis Planner・Reaxys・SciFinder・STN などの検索ツールが挙げられます。
Retrosynthesis Plannerの場合は、CAS 独自の Computer-Aided Synthetic Design (CASD) に基づいて逆合成解析を行え、合成ルートを自動で提示します。また、SciFinderは、有機物質のデータベースです。出発原料と目的の化合物の分子デザインを入力すると、関係の深そうな文献を検索可能です。
受託合成に対応する代表的な
化合物「有機化合物」と有機合成とは?
便利な検索ツールが登場しているとはいえ、合成ルートがわからない可能性もあります。どのように合成してよいかわからない化合物を作りたい場合は、合成ルートの検索・調査に対応する企業に受託合成を依頼しましょう。以下では、合成ルートの検索・調査に対応している企業を紹介します。
テクノプロは、有機化合物を中心に、既知化合物・新規化合物問わず受託合成を依頼できます。検索・調査の依頼から、報告書の提出までは2カ月程度です(2022年5月時点)。指定の化合物の合成ルートを検討し、詳細な反応条件も追求します。
富士フイルム和光純薬には、試薬事業分野や工業薬品に関する高機能性有機化合物のノウハウが豊富です。同社は、人名反応を手がかりとした合成ルート検索が得意です。なお、人名反応とは、発見者や開発者にちなんで名付けられた化学反応を指します。
太陽ファインケミカルには、機能性色素材料や、ハロゲン分野の開発・製造に関わるノウハウが充実しています。同社では、提供された研究内容の情報をもとに合成ルートを検索します。また、⽂献調査・試薬原料調査・ラボ合成検討なども実施します。
KISCOは、合成樹脂、化学品、エレクトロニクス材料関連に明るい企業です。KISCOの強みは、第三化成株式会社や大同化成工業株式会社など複数のグループ企業です。KISCOは、複数のグループ会社を駆使し、1社のみでは難しい合成をも実現します。どのように作ってよいかわからない化合物でも、文献検索や特許検索により合成ルートを調べます。
ナード研究所は、医薬・農薬を中心としたライフサイエンス医薬・ライフサイエンス・エレクトロニクス素材など、幅広い分野に貢献する企業です。ナード研究所は、収率の改善やコストダウンなど、既存の合成ルートの課題改善を提案します。