既知化合物の合成

目次

既知化合物とは

化合物は、既知化合物と新規化合物に分けられます。既知化合物とは、合成ルートや合成手法が既に確立されている化合物です。一方、合成ルートや合成手法がわからない化合物は、新規化合物に分類されます。合成方法が知られている既知化合物は、比較的簡単に受託合成を依頼できます。

既知化合物かどうかを断定するためには、「化合物のデータベース」を検索しましょう。化合物のデータベースに目的の化合物が掲載されていて、合成経路が確率されていれば既知化合物とわかります。

2022年5月現在、化合物のデータベースには無料のツールと有料のツールがあります。バイオ関連や創薬関連のデータベースには、無料のツールが豊富です。一方、そのほかの分野は、有料のデータベースを使用したほうがよいかもしれません。

既知化合物かどうかの推定

既知化合物を推定する際には、対象となる化合物を分離する必要があります。さまざまな物質が混じった状態では、分析ができません。

対象となる化合物を分析する方法には、有機組成分析、赤外分光分析、ガス・液体などを使ったクロマトグラフィーによる質量分析などが挙げられます。MS(分子量)などがわかったら、化合物のデータベースと照らし合わせ、既知化合物かどうかを調べましょう。また、推定した化合物の標品がある場合、標品を用いて化合物が予想した化合物であるかを確認できます。

推定のための一連の分離・分析作業には、専門的な知識と技術が必要です。自社で既知化合物の推定が難しければ、専門業者への依頼も検討しましょう。

既知化合物の合成に対応している企業の例

既知化合物の合成に対応している企業を紹介します。

林純薬工業

林純薬工業では、受託合成サービスとして合成手法が既知の化合物はもちろん、未知の化合物にも対応しており、既知化合物においては、96%以上の成功実績があります(2022年5月調査時点)。

成功報酬制を採用しており、とくにラボスケール(100mg以下)の研究用スポット合成、医薬品関連化合物や天然物由来成分の合成を得意としています。

住化テクノサービス

住化テクノサービスでは、医薬・農薬関連の化合物や、工業薬品等の合成に対応しています。同社は1989年に創立され、2022年5月時点で33年目を迎えました。既知化合物はラボレベルのスケールから、量産スケールまで合成可能です。また、既知化合物に関わる学術文献などの調査、特許出願用の追加検討の合成なども請け負います。

テクノプロ

化学・バイオ分野に関する事業を展開するテクノプロには、2022年5月時点で1,200名を超える研究者が在籍しています。同社は、有機化合物に関する豊富な知見をベースに、医薬・農薬・試験研究用試薬・有機電子材料など、既知化合物の合成を実施します。

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